1.がん対策基本法・がん対策推進基本計画

平成18年6月に制定されたがん対策基本法は、がんに対して国などが取り組むべき事柄を定めた法律です。その第1部ではがんの予防と早期発見の推進を、第2部ではがん医療の均てん化を、第3部でがん研究の推進をうたっています。均てん化とは全国どこにいってもあまねく同じように恩恵を受けることができるという意味です。

この法律に基づいて、がん対策推進基本計画が策定され、「がん患者を含む国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」を目指して、患者の思いに沿うようながん診療体制が整備されつつあります。

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2.大阪府の取り組み

大阪府では、がん対策基本法に沿って、府民ががんに罹患したときに質の高いがん医療を受けることのできる医療機関を選択できるよう、わが国に多い5つのがん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)の診療等に関して指定要件を充足した病院を、がん診療拠点病院として公表しています。指定を受けた病院においては、がん診療状況等を公開し、がん医療水準の向上に努めることとなっています。
現在、大阪府には60のがん診療拠点病院があり、府が推薦した上で、国が指定する「国指定拠点病院」と、府が指定する「府指定拠点病院」があります。
これらの拠点病院は、相互に連携して、がん治療水準の向上に努めるとともに、緩和ケアの充実、在宅医療の支援、がん患者・家族等に対する相談支援、がんに関する各種情報の収集・提供等の機能を備え、地域におけるがん医療の充実に努めています。

また、今後の方向性として、がん診療拠点病院が中心となって地域内医療機関の役割分担及び連携の強化を図り、がん患者のニーズに即した「専門治療から在宅医療へのシームレスな医療体制」を充実させることが掲げられています。

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3.大阪府済生会泉尾病院の指定

当院は、平成24年4月1日に大阪府がん診療拠点病院に指定されました。大阪府がん診療拠点病院の役割は、国指定拠点病院との連携の下、地域の一般病院やかかりつけ医との連携を図り、地域のがん医療の向上を目指すことにあります。
これまで、大正区とこれに隣接する港区、浪速区、西成区には、大阪府がん診療拠点病院が存在せず永らく空白地帯となっていました。当院が指定されたことにより、この地域においても、大阪府の策定するがん治療方針に沿って、漸くがん医療の向上を目指して一歩踏み出すことになりました。

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キャンサーボード

がん患者の病態に応じた適切ながん医療が提供できるようキャンサーボードを定期的に開催しています。ここでは、手術・化学療法・放射線療法を専門にする医師や診療科の異なる医師及び薬剤師、看護師などが一堂に会して、がん治療の情報を共有し、最適な治療方針を探るべく、意見交換を行っています。

がん登録

がんに対して有効な対策を取るためには、その実状をまず知らなくてはなりません。がんの発生状況や、治療内容、生存率などを明らかにするために、がん登録を行っています。データは大阪府成人病センターにも提供して、地域がん登録に協力しています。

がんの診療実績

臨床研究実施状況