院長 平居啓治

人生100年という時代になりましたが、果たしてどういう具合に死のうか（死ねるか）とお考えになっておられる方は少ないのではないでしょうか。
昨今 ACP（アドバンス・ケア・プランニング）という取り組みが進められており、自分の終末期をどう迎えるかを予め考えておいて、医療者や介護者とその思いを共有しようということが行われるようになりました。本来の人の幸せを考えてか、医療費の削減のためか、病院ではなく家で最期を迎えようというふうに世の中は動いております。
確かに、多分ひと昔の日本でそうであったように、自宅で最期を迎えるのが一番幸せだと思いますが、ひと昔前と家族構成は激変しております。夫婦二人で、いわゆる老々介護で最期を迎えるのは、三世帯同居していた時代とは明らかに違います。介護保険が施行され20年が経ち、確かに医療、介護とも在宅サービスは格段に充実してきております。

さて、そういう時代に当院がこの地域で果たせる役割は何かを問われた場合、やはり、野暮ったい言い方ですが地域医療への貢献になると思います。一昨年 心臓血管外科を開設し、心臓血管センターを充実してまいりましたが、結局は地域の住民の方々はもちろんですが、地域の医療・介護サービスを提供しておられる方々に喜んでいただける病院をさらに目指すことであると確信しています。
病院と在宅サービスを切れ目なく行うには、入院されるときだけでなく、退院されるときにもスムーズに行えるよう、特に患者さんには「入院して良かった、また何かあれば、また入院したい」と思っていただけるような病院になる事が一番大切です。
昨年5月に母を亡くし、改めて在宅サービスの大切さと有難味を感じた次第で、在宅を中心に据えた中での病院の役割を職員とともに、もう一度考えてこの病院を進化させたいと思っております。

今後も何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。