“胃腸”お見舞い申し上げます― 夏の胃腸トラブルとケアのヒント

“胃腸”お見舞い申し上げます― 夏の胃腸トラブルとケアのヒント

“胃腸”お見舞い申し上げます― 夏の胃腸トラブルとケアのヒント

夏の体調トラブルといえば、近年では熱中症にスポットが当たっていますが、変わらず多いのが胃腸のトラブル。

強い日差しが照りつける夏。冷たい飲み物やアイスクリーム、冷房の効いた室内での生活が続くと、知らず知らずのうちに胃腸に負担がかかってしまいます。

また、食欲不振や下痢、胃もたれなど、夏特有の胃腸の不調に悩む方も少なくありません。この季節を元気に乗り切るために、夏の胃腸トラブルの原因と対策をしっかりと知っておきましょう。

済生会泉尾病院 消化器内科 部長 鈴木 亮

「夏の胃腸トラブル」症状早見表|下痢・腹痛・吐き気など

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※「〇/〇」は症状がタイプにより下痢・便秘どちらにも現れることを指名しています。
※「その他」は代表的な補足症状です。
※人によって違った症状が出る場合もあります。

その症状、要注意かも?こんな場合は早めに病院受診を!

  • 発熱が3日以上続く
  • 下痢が続く、血便が出る
  • 嘔吐が止まらない
  • 体重が急激に減った

よくある胃腸の症状と原因|夏に多い不調とその対処法

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食中毒

高温多湿の夏場は、食中毒菌にとっては嬉しい季節。調理や保存が不十分な食品を介して感染することが多く、集団発生のニュースも毎年報道されます。

原因
原因となるウイルスや細菌から、代表的なものをご紹介します。

  • カンピロパクター

 過熱不足の鶏肉などで感染。潜伏期間1~7日。

  • サルモネラ

 卵・鶏肉・加工食品から。発熱・下痢が強い。

  • 腸炎ビブリオ

 海産物を原因とすることが多い。

  • ノロウイルス

 夏でも流行する場合あり。感染力が非常に強い。

予防

  • 食材は中心部までしっかり加熱(75℃で1分以上)
  • 調理器具や手指の洗浄・消毒を徹底
  • 調理後はすぐ食べる、または冷蔵保存

注意:高齢者や子供は脱水症状になりやすいため、特に注意が必要です!

急性胃腸炎

ウイルスや細菌、またはストレスや暴飲暴食などで胃腸が炎症を起こした状態です。ほとんどの場合数日で回復しますが、症状が強い場合は医療機関へ。

高温多湿の夏場は、食中毒菌にとっては嬉しい季節。調理や保存が不十分な食品を介して感染することが多く、集団発生のニュースも毎年報道されます。

原因

  • 外食や冷たい飲食物による胃腸への負担
  • 不規則な生活、睡眠不足
  • 水分不足による腸の動きの低下

予防

  • 手洗いの徹底
  • 十分な睡眠
  • 調理後はすぐ食べる、または冷蔵保存

過敏性腸症候群(IBS)

消化器に器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛や排便異常が繰り返される慢性的な疾患。夏は温度変化や生活リズムの乱れで悪化しやすくなります。

症状のパターン

  • 下痢型(緊張時に多い)
  • 便秘型
  • 混合型(下痢と便秘が交互)

夏の悪化因子

  • 冷たい飲食物のとりすぎ
  • 自律神経の乱れ(冷房や夜更かし)
  • 夏休み、旅行など環境の変化によるストレス

対策

  • 睡眠や食事のリズムを整える
  • 食物繊維を意識した食事
  • 水分補給

夏バテ(胃もたれ、食欲不振)

暑い日が続くと、つい冷たいものを飲みすぎたり、食事がのどを通らなくなったりしますよね。胃もたれや食欲不振は、放っておくと体力低下やさらなる体調不良につながることも。

原因

  • 冷たい食べ物、飲み物による胃腸の冷え
  • 暑さによる食欲低下
  • 自律神経のバランスが乱れて、胃の動きが鈍くなる

対策

  • 胃腸にやさしい温かい食事(おかゆ、湯豆腐、煮物など)
  • 冷房の効きすぎた部屋では腹部を冷やさないように
  • 軽い運動(ウォーキング、ストレッチ)で胃腸の働きを活性化

胃腸トラブル時は脱水を防ぐため、食欲がなくても水分だけは意識的に補給することが大切です。経口補水液や常温の水・麦茶などで、少量ずつこまめに水分補給を行いましょう。カフェインやアルコールの入った飲み物は避けるようにしてください。

夏の胃腸トラブルを予防!おなかケアで健康に乗り切る方法

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胃腸にやさしい食事と栄養のとり方|夏のお腹を整えるコツ

夏の暑さで食欲が落ちたり、ストレスや冷えで腸の働きが乱れがちになる季節。そんなときは、消化にやさしく、腸にうれしい栄養をとれる食事で、おなかの調子を整えましょう。

夏バテ、過敏性腸症候群の悪化の予防に

  • オクラと長いものねばねば冷やしそば
    胃腸を守るねばねば食材で消化を助け、食欲がない日にもピッタリ。
  • 甘酒と豆乳のバナナスムージー
    発酵食品+食物繊維で腸内環境を整えるドリンク。冷やしすぎには注意。

食中毒、急性胃腸炎等の療養に

  • やわらかにゅうめん(鶏だし風)
    胃にやさしく、水分と塩分補給にも◎
  • 豆腐のとろとろスープ
    タンパク質補給+胃の粘膜保護にやさしい一品。
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夏こそ「温活」!お腹を冷やさない生活習慣と食べ物の工夫

暑さ対策に気を取られがちですが、冷房を強く使うと、室内は快適でも体の深部が冷えてしまい、知らず知らずのうちに「冷え」が進みます。冷えは血流の悪化や免疫力低下、疲労感や胃腸の不調を招くこともあるため、意識的な対策が必要です。

  • 薄手のカーディガンやストールなどの羽織を持ち歩く
    特に首・手首・足首を冷やさないことを意識し体温調節をしましょう。
  • 食材や飲み物に気を遣う
    生姜湯など温め効果のある飲み物で内側から体温を保ちましょう。

  • 胃腸を整える夏の生活習慣|毎日できる見直しポイント7選

  • 病気になりにくい身体づくりに、規則正しい生活はマスト!そして、それを邪魔するのは“猛暑”。睡眠や生活リズムを意識しましょう。

    睡眠のアドバイス

    • 7~8時間の十分な睡眠時間を確保する
    • 寝る1時間前はスマホやPCの画面を見ない
    • 寝る直前の激しい運動やカフェイン摂取を控える 

    理想的な生活リズム

      • 朝日を浴びて朝食をしっかり。
        自律神経が整い、代謝や集中力もアップします。
      • 休息とメリハリのある過ごし方
        リラックスタイムには音楽や読書、深呼吸などで心を休めましょう。

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    医師のひとこと


    夏の胃腸トラブルはちょっとした生活習慣の見直しで予防できます。気になる症状があるときは、遠慮せずにご相談ください。当院では、患者さん一人ひとりの体調や生活に合わせたアドバイスを行っています。

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