当病院では平成8年4月に循環器科を設立しました。私(唐川)を含め現在8名の循環器医師が勤務しており、24時間体制で緊急時にも対応しています。
昨年度の心臓カテーテル症例数は1320例、冠動脈形成術は260例に施行しました。不整脈の患者さんの紹介も増え、カテーテルアブレーションは279例に対して行いました。4年前から心房細動に対するアブレーション治療を始め、近隣だけからではなく京都府や和歌山県からも患者さんの紹介をいただいております。
高度先進医療の重要性がいわれ、大学病院などの大病院になるほど、循環器臨床も専門化、細分化されてきました。その一方でその弊害も出てきているように思われます。例えば虚血性心疾患を専門にしている人は不整脈にはあまり興味を示さない、心エコーを専門にしている人は心臓カテーテル検査の知識を持とうとしない、などなど。しかし,実際の臨床の場ではそのようなことは許されない状況が多々あります。この病院で勤務,研修した医師は循環器の臨床の色々な状況のなかにおいて、技術的にも学問的にも広く・深く、その状況に対応できるようになっていきたいし、研修医には対しては指導していきたいと考えます。
循環器疾患に対して、虚血性心疾患においては急性心筋梗塞を含め早期の確実な再灌流、心不全に対しては的確な診断と適切な薬物選択、不整脈に対しては薬物治療のみならずアブレーションによる根治治療などがあります。それらを駆使し治療をしていく一方で、私は大学病院で働いていた頃からチーム医療の重要性を強く感じていました。医師・パラメディカル・看護師など、さらには近い将来心臓外科チームを加えて心臓センターとして循環器疾患を一面からではなく、総合的に診断・治療を行って、患者さんにとっての良い循環器チームを作っていきたいと考え,日々努力しています。
次に、当科で行なっている治療について説明します。
| 1.経皮的冠動脈形成術 |
| 虚血性心臓病(狭心症・心筋梗塞)の主な治療法の一つに心臓手術によるバイパス術と経皮的冠動脈形成術があります。 |
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冠動脈形成術とは: 冠動脈(心臓の筋肉を栄養する血管)の閉塞したり狭窄した病変部をカテーテルを用いて拡張する方法で、使用する器具はバルーンカテーテル,ステント(網目状の金属)、ロータブレーター(ドリル)、DCA(カッターによる病変切除)などがあります。 |
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冠動脈形成術の適応: 狭心症(労作時に認める胸部圧迫感や胸痛)の症状がはっきりしているか、症状はなくても細くなっている血管が養っている心臓の領域が大きい場合。 |
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冠動脈形成術の方法: 手首や足のつけねの動脈からカテーテルを冠動脈の入口部へ固定します。このカテーテルからワイヤーを冠動脈に挿入し,目的の病変部を通過させます。ワイヤーに沿わせてバルーンのついたカテーテルを病変に進め、そこで数十秒から1分間バルーンを拡張させます。病変が十分開大できたら、バルーンを縮小させ抜去します。
ステントを植え込む場合は、この後バルーンの上に装着したステントを病変部へすすめ、バルーンと一緒に拡張させてステントを血管壁に押し付けて植え込みます。バルーンやステントにはいろいろなサイズや長さのものがあり、血管径や病変の長さによって使い分けます。
治療が終了すれば、手首からの場合はすぐに圧迫止血を行い、病棟で数時間の安静を行います。通常の場合、手術時間は1時間以内、入院期間は3-4日間です。 |
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冠動脈形成術の成功率と問題点: 形成術自体の成功率は95%以上と高いのですが、拡張した病変が再び細くなる率(再狭窄)が20-30%あるのが形成術の一番大きな問題点です。それを解決する方法の一つとして2004年から薬を染み込ませたステントの使用が認可されました。このステントによって再狭窄率は5%程度に改善されました。ただ、ステント部に血栓が生じ、閉塞を起こす可能性が、以前のステントに比べ長いため治療後に長期間にわたり血栓が出来るのを防ぐ薬を確実に服用し続ける必要があります。 |
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| 2.カテーテル・アブレーション (心筋焼灼術) |
不整脈には脈が遅くなる「徐脈」と脈が速くなる「頻脈」があります。徐脈性の不整脈は心臓の電気信号を作る細胞や信号を伝える電線が老化などによる変性によって起こってくるのが主な原因です。従って薬物治療の効果が少なく、重症の場合はペースメーカーによる治療が必要です。一方、頻脈型の不整脈で症状が強い場合は薬物治療を第一選択にしますが、薬が効きにくい場合や副作用が問題となる場合が多くみられます。また、患者さんが根治を望む場合があり、そのようなときにカテーテル・アブレーションが治療の選択肢となります。 |
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カテーテル・アブレーション (心筋焼灼術)とは: カテーテルの先端から高周波電流を流して、接している心筋組織を小さく焼き切ることです。以前は手術で胸を開き直接心臓の異常な部分を除去していましたが、1982年アメリカでアブレーション治療が開発され、胸を切らなくても同じ治療効果が得られる方法として日本でも急速に普及してきました。 |
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カテーテル・アブレーションの適応: 頻脈性不整脈の中でもWPW症候群、房-室結節性回帰性頻拍、心房粗動、器質的心疾患のない心室頻拍は確立された治療となっています。その他、最近では心房細動、心房頻拍、器質的心疾患のある心室頻拍にもカテーテル・アブレーションによる治療が可能となってきました。 |
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カテーテル・アブレーションの方法: 足のつけね(大腿動脈・静脈)や肩の血管(鎖骨下静脈)から4-5本の電極カテーテルをレントゲンの透視下で心臓の色々な場所に留置します。まず、心臓の中の心電図を計測した後に頻拍を誘発し、発作の原因を突き止めます。これによって、副伝導路などの異常な部位を探します。この作業のことを「マッピング」といい、アブレーションを成功させる上で非常に重要な作業となります。異常な部位がわかったら。次にアブレーション用のカテーテルの先端から高周波電流を流します。通電によりカテーテルの先端に接している心筋組織のみが焼灼されて細胞は死滅します。一回の焼灼時間は1分以内で焼灼範囲は直径・深さ共に数mm程度です。通電中は胸の中で熱さや痛みを感じることもありますが、カテーテルの先端に温度センサーがついており、高温になる前に電流を遮断するため、必要のない部分まで焼灼することはありません。異常な部分をすべて焼灼するため何度か通電を繰り返す場合もあります。通常のアブレーションの場合手術時間は1-2時間(平均1.5時間)で入院期間は3-4日間です。ただ、心房細動のアブレーションの場合は手技が非常に繁雑になりますので手術時間は平均4時間かかります。入院期間も術前検査を入れると7-8日間です。 |
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カテーテル・アブレーションの成功率と問題点: 通常のアブレーションの場合の成功率は95%以上と高く、再発率も5-6%以下で、頻拍発作の不安からは完全に開放されます。しかし、心房細動のアブレーションの場合は初期成功率は90%以上とかなり効率ですが、手術後抗不整脈薬なしの状態で30-40%の例で再び心房細動発作が起こり、再アブレーションが必要となることがあります。ただ、当院での成績では2回目の手術も合わせると約90%の例では無投薬下に、心房細動は完治します。 |
■心臓カテーテル累積件数

■冠動脈形成術の症例数

■アブレーション件数の推移

■アブレーション累積件数
2005年に累積症例数 1000例 を突破し、
アブレーション件数が、全国10位(2007年)、11位(2008年)、10位(2009年)、9位(2010年)にランクされました!!
【週刊朝日 臨時増刊号 掲載】

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